あたしはちょっとかがんで、ムギュっと頬っぺを膨らませながら千秋の顔を見つめる。
長い睫毛……。
気持ちよさそうに寝ているのを見て、あたしは怒る気なんてなくなっちゃたよぉ。
「気まぐれ王子……」
そう呟いた瞬間。
「誰が、気まぐれだって?」
へ……?
そして、手首を掴まれグイッと引っ張っられてしまい、視界が真っ暗になる。
「き……きゃあああああー!」
ドンッという衝撃を受ける。
目を開けるとあたしの真上には千秋の端正な顔がドアップである。
「学習能力なさすぎ」
「な……」
「コレで二回目だけど?」
千秋はからかうような口調でそう言うと、「フフン」と鼻で笑う。
確かに、二回目だぁあああ!
前も保健室でこんなことがあったんだ……。
「オレに襲われたいの?」


