あたしとはーちゃんは、満面の笑みを浮かべるコウちゃんに促されてざわつく廊下にやってきた。
コウちゃんはウキウキ気分だ。
羽鳥は「興味ない」なんて言いながら教室へと戻ってしまった。
「あっ!居た!」
コウちゃんの視線は、生徒達の中でも一際目立つ女の子に向けられている。
こっちに背を向けている女の子。
腰まで伸びたハチミツ色の髪が、廊下の窓から流れこんできた風にふわりと揺れる。
あ、あれ……?
あの子確か、朝……正門の近くで見かけた。
後ろ姿だけど、ハチミツ色の髪の毛が特徴的だったから覚えてる。
それに、
『千秋…先輩……』
そう言っていたのを、あたしは聞いていた。


