今まで得意気な顔をして話してたコウちゃんの表情が雲っていく。
「影で“カップルクラッシャー”って呼ばれてるんだって……」
「クラッシャー?」
そう尋ねると、コウちゃんは苦笑いを浮かべながら教えてくれた。
「破砕機、粉砕機のことだよ。要するに、粉々にするってことさ」
粉々って……。
カップルを壊すの……?
それを聞いた瞬間、あたしは驚いてしまい、手にしていた苺ミルクを落としそうになった。
「それって、かなり性悪女ってことじゃない」
はーちゃんが眉をしかめる。
まん丸な黒い瞳が険しくなった。
「うん……今までも、たくさんのカップル壊してきたらしいんだ」
「な、なんでそんなこと……」
そこまでするなんて。
その桜井美結という女の子は、いったいなにがしたいんだろう。
あたしには到底わからない。


