『お前を信じてた』
千秋の想いに応えるように口をついて出た言葉。
「……き」
溢れた想いを、もう一度……。
「好き……千秋が大好き……」
千秋と出逢って千秋を知って。
千秋の優しさに触れて千秋の温もりを感じて。
――千秋に惹かれて恋に堕ちた。
「上出来だ」
マイクから聞こえる千秋の声。
千秋はふわりと表情を緩めた。
そしてあたしだけを見つめて言ってくれる。
「椎菜、おいで?」
心地好く響く声は胸を熱くする。
ステージの上からあたしを呼ぶ。
「……っ」
やっと踏み出せた時には視界が霞んでいて、千秋の表情がぼんやりと映る。
ずっとそうやってあたしを呼んでほしかった。
終わりを告げた日に酷く後悔して一番大切な人の存在に気づいた。
ステージまで一気に走りこんで、眉を下げて微笑む千秋にあたしは思い切り抱きついた……。


