騒然とする生徒達の中にウェーブの髪の毛が見えた。
「てめぇの女だろ?助けてやれ」
不快そうに歪む顔をした羽鳥は、マイクを握りしめて千秋に叫んだ。
羽鳥の隣にはマイクを取り返そうとあわあわしている涼くんの姿。
「雅弥、邪魔すんなよ?」
「見てられねぇんだよ!」
「お前はひっこんでろ」
「なんで助けてやんねぇんだ!」
飛び交う言葉と重苦しい雰囲気。
二人の険悪なやり取りに女の子達の騒ぎ声はよりいっそう拡大していく。
千秋は肝心な時はいつも助けてくれていた。
でも今は助けることなんてしないとばかりに羽鳥に言い返す。
「助けることはいつだって出来るだろ?」
「だったら今すぐ……」
「今オレが助けたら、コイツの努力は水の泡だ。それくらいわかれよな?」
トクンッ……と心臓が波打つ。
その続きは言わせないとでも言うかのように千秋は遮った。


