【続】俺様王子と秘密の時間



ステージの一番前に立つあたしの背中に突き刺さるのは女の子達の怒りや不満で。

それを背中にいっせいに浴びて、焼けてしまいそうな程、痛い。


ドクンッ……ドクンッ……。

うるさいくらい音をたてる鼓動。



「で…でも……」


必死に思考をめぐらせてもさっきまであんなに言いたいことがあったのが嘘のように言葉が消える。


あたしの弱々しい声は女の子達の罵声で掻き消される。

ブス、消えろ、目障り、嘘つき。

罵声は止まるどころかどんどん増えていく……。



一番聞きたくなかった“凡人じゃ釣り合わない”というとどめを刺す言葉が耳に届いた。

身体中の熱が消えていくような感覚がして、耳を塞いでしまいたい衝動にかられる。



逃げちゃダメ……。

絶対逃げちゃいけない。



「おい」


キーンという甲高い音が響き渡ったと同時に誰かの声が聞こえて、あたしは後ろを振り返る。