誰も居ない静かな廊下にはあたしの足音だけがバタバタと響いた。
廊下を走って息が上がっても階段を下りる足は止まらない。
このまま千秋のそばまで飛んで行けたらいいのにって、バカみたいなことを本気で願った。
それくらいあたしはどうしようもなく千秋に逢いたかった。
もう一度、あたしを見てほしい。
体育館の入り口まで全速力で走ってきたあたしは乱れる呼吸を整えて、そっと扉を開ける。
出来るだけ音をたてないように。
一番に視界に飛びこんできたのは入り口に立つあたしに、背を向ける形で並んでいる全校生徒達。
ステージの上で教頭先生が夏休みの注意点を語っていた。
ドクンッ……。
もしあたしが大声で千秋の名前を呼べば、全校生徒の視線を一斉に浴びることになるのだ。


