「諦めるつもりだった」
そっと口を開いた羽鳥。
「諦めるって決めたのにシイがアイツに夢中になってくの見てるうちに、抑えらんなくなった……」
切れ長の瞳を隠すように前髪をくしゃりと握りこんだ。
「好きだから簡単に諦めたくなかったんだ……」
夏の太陽が射しこむ教室に羽鳥の掠れた声が響いた。
諦めたくないって気持ち。
大切なモノを失った今ならそれが痛いくらいわかる……。
無理に笑ってみせる羽鳥を見て、焦げた焼け跡が微かに疼いた。
『“椎菜”が好きだ……!』
あんなにも強くあたしを想ってくれた羽鳥。
こんなあたしを好きだって言ってくれたことを、困るなんて思っていたあたしは大馬鹿者だ。
それはほんとはとても幸せなことだったよね。
あたしの“告白”を聞いた羽鳥は大きく息を吐いた。


