「羽鳥はあたしにとって“特別”な人なんだよ……。他の誰よりも羽鳥はずっとずっと特別なの」
気持ちに応えられなかったからじゃない。
ましてや嘘でも同情でもない。
――羽鳥だけは特別だから。
それはあたしの本心で、やっとわかった羽鳥への気持ち。
「シイ」
羽鳥は眉を下げてあたしを呼ぶ。
そうやっていつもいつもあたしを“シイ”って呼んでくれた。
初めてあたしに優しくしてくれた男の子。
授業中あたしの方へ振り返ってからかってきて、憎まれ口きいて。
『ぶはっ。ひでぇ寝癖』
頭をくしゃくしゃにしてきたり、寝癖が酷いって笑ったり……。
『んな顔すんなよ』
落ちこんだ時はその大きな手であたしの頭を優しく撫でてくれた。
『シイ、それ好きだろ?』
羽鳥がくれる大好きな苺ミルクはいつだってあたしに優しさをくれた。
全部、羽鳥だったから意味を持ったんだよ……。


