「なんでシイが居んの?」
「あのね……」
顔を上げて羽鳥を見る。
そしたらもうなにも言えなくなってしまった。
だって羽鳥はジーンズを履いているけど、上半身裸でまだ髪の毛も身体も濡れてるんだ。
「マジ焦った。シイ、お前覗き見とか趣味悪すぎ」
ククッと笑ってみせる羽鳥。
慌ててお風呂を出てきたんだって思った。
こんな間近で羽鳥を見れない。
羽鳥のどこに目をやればいいか困ってしまう。
「ちょっと来い」
あたしの腕を掴んでそのまま部屋へ向かった。
あたしは、なにをやってるんだろう……。
羽鳥の部屋は前に来た時とあまり変わらない。
あたしはベッドの前に座った。
「シイ」
「わっ!」
部屋のドアの前に立つ羽鳥が、いきなりあたしになにかを投げてきた。


