「ゆ…ユリさん……?」
「シイちゃんじゃない、どうしたの?」
び、ビックリした……。
「あ、あの、羽鳥は?」
「居るわよー。とりあえず上がって?」
促されて玄関まで入った。
「さっきまで千秋が来てたのよ」
「……知ってます。エレベーターで会いましたから」
「そっか。わたしもさっき来たばかりなの。二人で話してたみたいだけど、嫌な雰囲気だったわ」
「そうなんですか……」
「心配しなくても大丈夫よ?」
さっき千秋から聞いたから気まずいものがある。
ユリさんはスリッパからヒールに履き替えて続けた。
「あの二人、不器用だけどお互いの気持ちは理解してるハズよ。千秋なんて雅弥のことなんでもわかるもの」
幼い頃から一緒に過ごしてきたユリさんが言うのだから、きっとそうなんだろう。
敵視していてもお互いをわかっている二人。


