なにやってんのってあたしの台詞なんですけど……。
ここは羽鳥が住んでいるマンションなわけで、二人の仲は酷く悪くて、だから千秋が現れるなんて絶対にオカシイと思う。
「な、なんで千秋が?」
「雅弥に呼ばれたからだ」
羽鳥に……?
千秋は停止したままのエレベーターに乗りこんできた。
あたしはこの階で降りたいんだけど千秋が“閉”のボタンを押したから扉が閉まってしまう。
「そんで?お前はなんでここに居るんだよ?」
ギクッ。
そんな理由を言えるハズがない。
あたしと微妙な距離を空けてポケットに手を突っこみ、壁に寄りかかる千秋。
「雅弥に会いに来た?」
フッと笑う気配がした。
あたしは鞄を持つ手にギュッと力をこめて握る。
答えなくてもあたしがここに居る理由を千秋はわかっている。
わかってて聞いてくるんだ。


