【続】俺様王子と秘密の時間



『シイ、色々ごめんな?』


黒澤拓海からのMDは、そんな言葉から始まった。



『でもありがとな。お前も素直になれよ?またな、シイ……』


耳が痛くなる程に押しあててMDの中身は、とてもシンプルな内容だった。

きっと学校を辞めて故郷に帰ることは、あの遊園地に居るときからもう決めていたんだね……。



『でもシイのおかげで決心ついたから感謝してんだぜ?』


決心ってそういう意味だったんだとあたしは思う。



『ああ。シイ、またな?』


旅館で黒澤拓海がそう言ったのは、きっとあたしに“さよなら”を言おうとしていたんだね。


まるで通り雨みたいなヤツだ。

突然現れて突然消えるんだもん。



「あたしはあんまり話さなかったから何とも思わないけど……。シイは、寂しい?」