心のどこかでこうなるって予測出来たのに、あたしから千秋の部屋に来たのは会いたいからで……。


まるであたしから千秋を求めてるって思われちゃったかもしれないけど、それでもいいと思った。



好きだから、触れてほしい。

好きだから、キスが欲しい。

それ以上の理由は、いらない。


こんなに欲張りにさせた王子様に、悔しいから仕返しをしよう。

ギュウッ……としがみついて、千秋の耳元にあたしは唇を寄せた。


これ以上ない勇気を振り絞って。



「好き……」


これでもかってぐらいにしがみついて、小声でそう呟いた。


千秋がどんな表情をしているのかわからなかったけれど、小さなあたしの言葉に応えてくれた……。



「可愛いよ」


そう言って優しいキスをくれた。