無意識に千秋の肩を掴んで、押し寄せる波に耐えようとしていた。
千秋はそれに気づいたのか、いきなりあたしの腕を手にとって自分の首に回させると口を開いた。
「オレにしがみつけば?」
甘やかすように囁いた。
既に千秋によって回された腕は、まるでしがみついてるみたいで。
このまま、もう溶けちゃうんじゃないかって思った。
「椎菜」
トクン……トクン……。
あたしの耳にキスを一つ落とし、ブラウンの瞳を細めて微笑する。
「もっと煽ってみろよ?」
千秋の甘い毒があたしの全身を駆け巡る。
あたしをタジタジにしたのは、欲張りな王子様のせい。


