「に……忍耐?」
千秋の体温がダイレクトにあたしに伝わる。
耐えきれずに目を伏せようとしたその時。
「そろそろ、お前が欲しい」
トクンッ……。
その言葉はあたしの体温を上昇させ、頭の中で甘く反響した……。
「それとも、この旅行中、ずっとオアズケくらわすつもりだったのか?」
首を傾げて得意気に笑ってみせるから、また頬が熱くなっていく。
「犬じゃねぇんだから、オレは待てねぇよ?」
「でも誰か来たら……」
「点呼も終わってんだ。誰も来ねぇよ」
そう言って千秋はあたしの肩に手を伸ばし、もうわずかしかない距離を埋めた。
「ち、千秋……」
あたしの髪に指を通して首筋に顔を埋めるから、身をよじらせる。
いつもいつもこんな風に追いこまれちゃうなんて、あたしったら救いようがないのかもしれない。


