「椎菜……」


熱のこもった声で呼んでくれる。

あたしを名前で呼んでくれることはほんとに時々だから、こうやって千秋に囁かれるとたまらなく嬉しい。


今まで何とも思っていなかったけど、あたしは“椎菜”って名前がすごく好きになる。


だからあたしは自分が椎菜っていう名前でよかったって心底思う。

こんな些細なことに、幸せを噛みしめているような気持ちになる。



そしてまた、あたしの悩みの種はどこかへ行ってしまう。


それでも千秋が足りなくて、1センチでも近づきたくて……気持ちが重なりたいって思うから……。



目を閉じて、

甘いキスに溺れる……。