「そん時は慎に空気読んでもらうつもりだったからな?」
シラッとした口調でそう言った。
佐久間くん、危うく部屋を追い出されるとこだったんだ。
それを涼しい顔でサラッと言っちゃうなんて!
「鬼だ……」
千秋から顔を背けて呟いた。
「なんだよ?」
「な、なんでもない!」
今のが聞こえたら大変だよぉ。
「言えよ?」
「だから、別に何も……」
誤魔化そうとしたけど千秋の目はそれを許してくれない。
ドキッ……。
ペタンと座るあたしとの距離を、1センチ1センチ、縮めてくる。
だから鼓動が加速していく。
もぉおおおおおおお。
言った後に後悔するはめになる。
「きゃあっ……!」
詰め寄った千秋はあたしの両頬を両手で抑え、自分の方へ向けると意地悪い笑顔でこう言ったのだ。


