「だったら殴るなりなんなり、気が済むまで好きなようにしてくれて構わない。シイを身代わりにしようとしてたんだからな」
そう言うとベンチに深く座り直して目を閉じた。
うーーむ。
あたしは目を閉じた黒澤拓海の顔をまじまじと見る。
ひっぱたいてやりたいって思ったこともあったし、とにかく最初は意味不明でムカつくヤツだった。
でも話を聞いた今ひっぱたく程あたしは鬼じゃないのだ。
「じゃあ、一つだけ……」
「何でもいいぞ。あ、でも髪ちょんぎったりすんの勘弁な?」
ちょん切るって。
確かにこの長い髪、邪魔くさそうだけど。
「そ、そんなことしません!」
「シイならやりそーだ」
「でも鬱陶しくないの?」
「全然」


