「頼むからそんな目でオレを見るな」
「だって!納得いかない!ちゃんと理由を説明……」
「シイを身代わりにしようとしてた」
遮られた言葉に衝撃が走り胸が大きく波打つ。
黒澤拓海は言葉とは裏腹に悲しげな言い方をした。
少しずつ太陽が西に傾き始める。
あたしはなんて言ったらいいのか戸惑って、必死に言葉を探したけど結局なにも言えずにいた。
「サイッテーだよな、オレ……。シズナの身代わりなんているわけねぇのにさ……」
小さな声でそう言った黒澤拓海。
視界の隅で自分の長い黒髪をくしゃりと握りこんで、あたしの方へ向き直るのがわかったけど、あたしは少しも動けずにいた。


