「よぉし!ナイトミステリー行くか!」
ひぇええええええ……。
ほんっとに勘弁してよぉ。
言いたかったけど反論する気力さえなくて。
「ほーら、早く行……」
「やめろ」
――誰?
こんな状態だから幻聴まで聞こえてきたの?
ふいに聞こえたその声が救いのように思えたあたしは、フラフラする足元からそっと顔をあげる。
黒澤拓海の言葉を遮ったのは……。
「嫌がってんのがわかんねぇの?」
視界の隅でウェーブの髪の毛が揺れてハッとした。
黒澤拓海の手を掴んだのは羽鳥だった。
「羽鳥……」
「シイ。お前も嫌なら嫌って言えよ。んなことも言えねぇわけ?コイツに振り回されて、バカじゃねぇの?」
はぁーっとため息をつく。
めんどくさそうな、呆れたような表情で。


