悪夢だ……。
黒澤拓海はなぜかこの園内にやけに詳しくて、あちこちにある絶叫系マシーン全てを何度も乗って、息をつく暇もないくらいに連れ回されてしまった。
「乗った乗った!やっぱ絶叫系って最高じゃね?」
はぁ…はぁ…。
息切れして目眩がしてきた。
コイツ、自分は楽しいからいいかもしれないけど、ちょ…ちょっとさすがにヤバいんですけど……。
「でもまだ足んねぇなぁ。んじゃお次は……お。アレ行くか?」
「あ、あのぅ…」
頭がぐるぐるする。
それに時間が気になってそわそわして時計ばかりに目がいくし、あと30分足らずで5時だ……。
夢の国にある噴水がライトアップされる時間。
もちろんあたしは、さっき告げられたそのお願いをきいてあげるわけにはいかない。
どう回避したらいいんだろうと頭を働かせるんだけど、この状態じゃまともな考えなんて一つも浮かばなかった。


