「今日1日一緒に居てよ?」
まさかそれがお願い?
ちょっと簡単すぎて面食らった。
「聞いてくれたらもう付きまとったりしない。王子との仲も邪魔しない」
なんか胡散臭いけど……。
でもそれでこの人から解放されるならと、その条件を呑むことにした。
「わかりました……」
「物分かりいいなぁ、お前は。んじゃ、まずどっから行く?」
何が悲しくてこんなヤツと遊園地で遊ばなきゃならないのよ……。
それにあたしの気分は曇り空みたいで。
千秋のことが頭から離れてくれなくて後ろ髪ひかれる感じで……。
「アレから行く?」
黒澤拓海が指さしたのは夢の国にあるジェットコースター。
その名もビックマウンテンだ。
プールのスライダーなんか比べものにならい程、怖そうだ。
「は〜ん。怖いんだ?」
「ぜ、ぜぇんぜん平気…!」
あたしはぐんぐん足を進める。


