「あっ……」
ダメぇ……。
口元を手で抑えて堪えるあたしを煽るように、千秋は舌を這わす。
「……んっ」
「声、我慢してんの?可愛いな、お前」
足がガクガクしてくる。
視界も涙で濡れてぼんやりする。
「今は優しく出来ねぇ」
千秋のキスも触れる指も強引で、力任せ。
息も出来ないくらい……。
「やめた。もういいわ」
「へ……?」
唇と身体が離れた直後に、千秋がそう言った。
ドクン……と不安が走る。
「早く行けよ」
千秋は前髪をくしゃりと握りこんで、その場にしゃがみこむ。
もういいって。
意味がわからない……。
「……によ、なによ!こんなことしといて、もういいって、意味わかんない……」
あたしはシャツを正して千秋を睨んだ。
でも、千秋は何も言わずに読み取れない顔つきをしたまま。
「あたしだってもういいもん…。バカ王子!」


