「気に入らねぇんだよ」
「ちょ、千秋……!?」
千秋のブラウンの瞳が冷たく揺れて、あたしの腕を力強く掴んで走り出す。
人気のない建物と建物の間に連れて行かれ、ダンッ……とあたしの背中を押しつける。
「痛っ……」
「お前、なんなわけ?」
あたしの頭の横に千秋が両手をついて閉じこめる。
口元で笑っていても、瞳が冷ややかで怖い……。
どうしても真っ直ぐに見れない。
「んなに、雅弥が気になる?」
「……っ」
あたしの考えなんて千秋には全てお見通しだった。
気にならないと言えば嘘になるけど、口が裂けても言えないよ。
「お前、オレに嘘つけると思ってんの?」
フルフルと首を振る。
押しつけられた背中が冷たい。
「千秋…怖い…怒ってるの?」
凍りつきそうな笑みから目を逸らした直後……。
「やっ……」
千秋があたしに触れてくる。


