ふと見渡すとコウちゃんは死神みたいな被り物を買って喜んでる。
「一人ぼっちだなぁ、シイ。しょうがねぇから、このオレが一緒に回って……」
ニカッと羽鳥が笑ったその時。
「じゃあオレも、お前のこと貸りようかな?」
羽鳥とは違う低い声が響いた。
髪の毛をクイッと軽く引っ張られて、身体をねじって顔を向ける。
「ち…千秋っ」
ド、ドドドドドアップ!
ビックリして口を開ける自分のマヌケ面が千秋の瞳に映る。
「んだよ!またてめぇかよ!」
「残念だな?コイツ、オレのだから」
自信たっぷりな千秋の表情に羽鳥は何か言い返すと思っていた。
でも……
「あっそ。別にオレはシイじゃなくても、女なら誰でもいんだよ。勘違いすんな……」
そっけない口調とは釣り合わない笑顔を見せる羽鳥に、ズキッと棘が刺さったように胸が痛かった。


