「や……やだよ……」
息を整えるのが精一杯。
それでもあたしは、赤面するくらい恥ずかしくなって、無意味だとわかっていても抵抗してみる。
「ほんとに嫌?」
まるで挑発的な口調。
そんなこと言われたら、あたしは頷けないってわかってるクセに。
どうして千秋はこんなにも人の心をくすぐるのが上手いんだろう。
千秋の指先から流れこむ体温を感じながら、王子様はズルいな……って、心の中で呟いた。
「千秋……」
密着する身体が火照る。
あたしは、霞みがかる視界の中で千秋にそっと目線を向けた。
「もっと激しくしてほしいの?」
「……っ」
「いいよ、しようか?」
そういう意味で千秋を見たわけじゃないのに、吐息混じりの甘美な声があたしを惑わす。
いつだって強引な千秋に、あたしはやっぱり勝てない。


