目元にかかる長い前髪があたしの鼻の頭を撫でるくらい近くなる。
「じゃあ、どういうわけ?」
「あの……狭いし暗いし……」
そんな場所で二人きりは……。
しかも密着なんて。
「広いとこならいいの?」
……やだ、顔が近すぎる。
千秋の形のいい唇から息が漏れて、今にも触れてしまいそうだ。
濡れた瞳を細めて唇を近づけてくる千秋の顔が、エッチな雰囲気を漂わしている。
もう、ダメ……。
「わ…わかったよ!滑ればいいんでしょ!?」
促されて?あたしはスライダーのスタート地点に。
羽鳥と滑った時よりも高くて、出口までずっと真っ暗らしい……。
「んなに怒るなよ?」
「だって、真っ暗……」
千秋は口をへの字に曲げて仏頂面をするあたしの手首をひっぱる。
「座れば?」
あのぉ……もしや、千秋の足の間に座れってこと?


