皮肉をたっぷり含んだ物言いに、千秋は黙るハズもなく嫌味な笑顔を返す。
なんか怖いんですけど……。
「こういうこと、お前には出来ないだろ?」
「きゃっ……」
背中に生暖かい感触がして短い悲鳴をあげると、さらに千秋の腕があたしの身体に巻きついてくる。
後ろから抱きしめられる形になってしまった。
「……っ」
耳に千秋の濡れた髪の毛があたって、それだけでも心臓バクバク。
あたしはギュッと目を瞑る。
「てめぇ!離せよ!シイが嫌がってんだろ?」
「それはどうかな?」
羽鳥が見てるのに……。
恥ずかしすぎて火でも吹きそう。
「水着、可愛いよ」
「えっ?」
羽鳥には聞こえない小さな声で、低く、だけどやけに艶っぽく囁いてあたしの耳たぶを舐めた。
「おいで?」
眉根を寄せる羽鳥を尻目に千秋はあたしの手を握る。


