「なんつー声出してんだよー」
「だ、だって!羽鳥がいきなり滑るからでしょ!」
スライダーから滑ってきたあたしは、羽鳥の背中から引っ剥がされていて、プールに飛びこんだ。
水から顔を出したとたんに羽鳥が大笑いする。
「ぶはっ。シイ、お前ひでぇ顔」
「そんな笑わないでよね!」
「楽しかったろ?スリルあって」
「うん……わぁっ!」
羽鳥が笑いながらあたしの髪の毛をくしゃくしゃにしてくる。
それが嬉しいと思ったのはきっと羽鳥と仲直り出来たからかな?
すると突然、羽鳥があたしの後ろを睨むような目で見てくる。
羽鳥……?
「そんなに楽しかったんだ?」
えっ……?
振り返るとすぐ後ろに千秋が立っていた。
口元を吊り上げて笑うその顔に、あたしは背筋がゾッとした。
「秘密にしてるってのも大変だよな?自分の女と遊べねぇし?」


