「19歳がなんでココにいるのかって聞いてきたよな?」
「聞いたけど……」
「オレのこと知りたいんだ?」
「はぁ?あなたのことなんてこれっぽっちも知りたくない……!」
――ダンッ!
黒澤拓海は自分の車に拳を叩きつけた。
「知りたいって言えよ」
その声はやけに低く響いた。
黒澤拓海の瞳は怒気を含んだ目をしているように見える。
「……じゃあ、なんでココに」
この男から早く解放されたいと思ったあたしは、理由を尋ねる。
「オレが高校1年の時……16の時に親父がリストラにあっちまってさ。そっからやっと再就職したのはいんだけど、あっちこっち転勤ばっかでさ」
それって、俗に言う転勤族ってやつだよね……。


