【続】俺様王子と秘密の時間



ピタッと羽鳥の足が止まる。


それでも羽鳥はあたしの目を見てくれなくて、まるで狼のような切れ長の瞳は全然違う方を見てる。



お願いだから……

お願いだから……



「あたしを見て……」


声が震えた。


あたしは耐えきれなかったんだと思う。

羽鳥に避けられることも、あたしなんか見えていないような羽鳥の瞳にも。



「あたし、あたし……羽鳥と話せないなんて嫌なの。こんなに辛いなんて思わなかった……」


失ってから気づいても遅い。

あたしは羽鳥を失いたくないって思ってる。

ここで拒絶されてしまったら、もう羽鳥とは前みたいに話したり笑ったり絶対に出来なくなる。



「せめてあたしを見て……」


羽鳥は何も言ってくれない。

それでも諦めきれない。



「お願い……」


“嫌いにならないで”


その言葉よりも先に涙が溢れた。



――グイッ


「ひゃっ」