ピタッと羽鳥の足が止まる。
それでも羽鳥はあたしの目を見てくれなくて、まるで狼のような切れ長の瞳は全然違う方を見てる。
お願いだから……
お願いだから……
「あたしを見て……」
声が震えた。
あたしは耐えきれなかったんだと思う。
羽鳥に避けられることも、あたしなんか見えていないような羽鳥の瞳にも。
「あたし、あたし……羽鳥と話せないなんて嫌なの。こんなに辛いなんて思わなかった……」
失ってから気づいても遅い。
あたしは羽鳥を失いたくないって思ってる。
ここで拒絶されてしまったら、もう羽鳥とは前みたいに話したり笑ったり絶対に出来なくなる。
「せめてあたしを見て……」
羽鳥は何も言ってくれない。
それでも諦めきれない。
「お願い……」
“嫌いにならないで”
その言葉よりも先に涙が溢れた。
――グイッ
「ひゃっ」


