【続】俺様王子と秘密の時間



チャリン……と金属音が擦れる音がして、駐輪場にバイクを停めた羽鳥がこっちへ歩いてくる。

人差し指でバイクの鍵をくるくる回しながら。

身体は羽鳥の方を向いていても、顔を上げることが出来ないまま距離が縮まって、鼓動が加速する。



羽鳥と仲直りがしたい。

羽鳥の声を聞きたい。

羽鳥の笑った顔を見たい。


その言葉を言いたくて、でも言えなくて……。

また拒絶されてしまうんじゃないかって考えたら、怖かったんだ。



羽鳥がもう側まで来てる気配を感じて目線を上げたけど、羽鳥はあたしなんか見ちゃいなかった。


ドクン……ドクン……。


あたしの真横を通り過ぎていくその一瞬が、スローモーションみたいに感じられて、迷った末……



「羽鳥……!」


ほぼ無意識に近かった。

気づいたら羽鳥の名前を呼んでいた。