「シイぃぃぃぃぃぃぃぃ!」
ヒッ……!
あまりにもでかい声で叫ぶからビックリして足を止めてしまった。
あっという間にあたしの真ん前まで走ってきたのは、涙と鼻水で顔中ぐちゃぐちゃなコウちゃん。
「ゔぅ……シィ〜〜」
「どうしたの……!?」
あたしの腕にしがみついて嗚咽するコウちゃんは、尋常じゃない。
登校してくる生徒の注目の的だ。
昨日のコウちゃんは元気なくて、ケータイを握りしめて泣きそうな顔をしてたっけ……。
「ばさやがぁ〜」
もう何を言ってるかわからない。
コウちゃんの背中をさすってあげると、落ち着いてきたのかポツリポツリと話始めた。
「昨日の朝、シイのことで雅弥と言い合いになったんだ……すぐにメールで謝ったんだけど返事がなくて……」
あたしのことで……?


