【続】俺様王子と秘密の時間



すっかり忘れていた……。


学校のみんなは知らないんだから迂闊なことは出来ない。


大事なことなのにお姉ちゃんに指摘されるまで忘れてたよ……。


女の嫉妬は怖いって、学校の王子様を独り占めしてるのがバレたら女の子達が怒らないハズがない。


今さらながら学校中の女の子を敵にまわすことを想像するとゾッとする。


去年の夏合宿の夜は、はーちゃんにバレそうになったっけ……。

でもはーちゃんはもう知ってるから、今回は少しだけで気が楽だ。

でも油断大敵。

とにかく旅行中は気をつけていないと。

千秋が変にあたしを呼び出したりしない限り、バレる危険はない!

けれどいつまでも“秘密”って、ちょっと寂しいっていうかなんというか。


お姉ちゃんと別れたあたしはぐるぐる考えてるうちに、正門までたどり着いていた。



――ダダダッ


ん……?

誰かが全速力でこっちに向かってくる。