塔屋から見られてたんだ……。
「バカってなによバカ……!」
小学生みたいなことを言って反論するあたしを小馬鹿にするように意地悪な笑みで覗きこんでくる。
うぅ……。
「なに怒ってんだよ?」
「それは千秋の方でしょ……?」
涼しげな表情を浮かべて顔を傾ける千秋は、あたしの顎を半ば強引に上向かせ、口元を吊り上げる。
「他の男が自分の女に触れてんの見て、妬かねぇ男なんていねぇよ」
「……っ」
驚くあたしに顔を近づけてくるから、お互いの鼻がぶつかる……。
「あんまり妬かせんな。今すぐ押し倒したくなる」
耳元で囁いて、甘噛みしてくる。
――こんなの殺し文句と同じだ。
再び唇を被せて感情のままに激しく求めてくる。
そのキスはさっきよりも深くて、熱くて、息を漏らしながら無意識のうちに千秋のシャツを掴んだ。
もっともっとキスをしてほしいと思った。


