千秋からのメールだ……。
今日はまだ一度も顔を合わせてないから、ちょっぴり胸が高鳴る。
「王子から?」
コソッと耳打ちをしてくるはーちゃんにあたしはコクンと頷いた。
ケータイを開いてメールを見る。
【From:千秋】
【To:Re:】
放課後、屋上においで
-----END-----
屋上って……。
ふと窓の外を見ると雨はもう止んでいた。
千秋を想うと頬が熱を持つ。
「“放課後、屋上に……”」
背後に人の気配がしたと思ったら、誰かが復唱する声が聞こえた。
慌てて振り返ると……。
「く、く、黒澤拓海!!」
サ・イ・ア・ク!
イヤホンを片耳だけ外してあたしのケータイを覗きこんでいた。
「お前、誰かと会うの?」
「関係ないでしょっ!」
「ふーん……」
怪しい笑みを漏らして黒澤拓海はどこかへ消えていった。
やっぱり黒澤拓海は謎だ。


