「お前はほんと隙だらけだな?」
笑いの含んだ声がして、千秋はニヤリと笑うとあたしの腕をがっしりと掴んだ。
「へ?……きゃっ!」
次の瞬間あたしは身体ごとぐるりと回って、次に目の焦点が合った時は千秋があたしの上に居た。
というよりも覆い被さっていた。
「やだっ……」
目を白黒させるあたしの耳の横に手をついて見下ろしてくる千秋。
千秋の香りがあたしを包みこむ。
「甘いんだよ。オレを待たせといて、簡単に許すと思ってんの?」
千秋の強い眼差しがあたしを捉えて離さない。
射しこむ一筋の光が、ブラウンの瞳を照らし出す。
あたしは身体中に力が入ってしまって、石みたいに固まった……。


