最悪、最悪、最悪!
こんな時に黒澤拓海から電話がかかってくるなんて神様の意地悪。
ケータイを耳にあてたまま千秋を見ると何も言わずに口元で笑うから、あたしは慌てて背を向けた。
心臓に悪い意地悪な笑顔だ。
「…伝言って?」
《もうバイト来なくていいって》
「でも明日までじゃ…」
《無理に頼んじゃったから悪かったって言ってたぞ》
なんだか申し訳ない。
明日、ちゃんと謝りに行こう。
制服も返さなきゃだし。
「わかりました。じゃあ切り…」
《シイ?今からデートしない?》
「は?デートって……きゃぁ!」
突然、背中に体温を感じたと思ったら千秋があたしの髪の毛を持ち上げてうなじに唇をあててくる。
そして後ろから千秋の腕があたしのお腹に回る。
《シーイ?聞いてんの?》
「さ、さ、サヨナラ!」
変な声を出しながらもあたしは電話を切った。


