「なっ……なんで……」
もう、言葉が続かなかった。
とたんに鼓動が激しさを増して、目をまん丸にして驚いてしまう。
だって……。
ありえないことが起きてる。
「ち…ち…千秋……!」
どうして居るのよぉおおお!?
千秋は足を組んで頬杖をついたままあたしの目を真っ直ぐに見て、口元だけで小さく笑ってみせる。
「自分の男の“誕生日”に、バイトか?」
「え……?」
今、なんて言ったの?
“誕生日”にバイト?
いやいや、千秋の誕生日は明日、16日だよね?
「誕生日は明日のバズじゃ……」
「何やってるのよ川村さん!早く注文とりなさいっ!」
パートのおばさんが口を挟んだ。
あ…頭がついてかないよぉ。
「ご、ごご、ご注文は……?」
「お前」
千秋は顔を傾けて微笑する。
「お前が欲しい」
へっ……?


