「ぎゃっ!春希さん……それに、ユリさんも……」
今さら遅いと思いながらもあたしは持っていたトレイで顔を隠す。
「大学の帰りなの。でも驚いた。シイちゃんってココでバイトしてたのねぇ?」
席に案内したあとユリさんに尋ねられたあたしは、一週間だけのバイトだということを説明した。
「なんで一週間?」
「うっ……」
「千秋は知ってるのかしら?」
「え、いや…知りません!あの、言わないでください!千秋には誕生日当日に驚かせようと……」
「「え?」」
二人の声が重なった。
ハッ!
しまったあああああ。
「あの……実は千秋が16日、誕生日だって羽鳥から聞いたから」
「え!?」
と、ユリさんは驚いていた。
「出ましょう!春くん!」
そしてユリさんはムクッと立ち上がると春希さんの腕をひっぱってお店を出て行ってしまったのだ。
なんで……?


