「い、いらっしゃいマセぇ……」
ぎゃあああああああ。
緊張で声が震えちゃうよぉ。
川村椎菜、人生初のアルバイト。
何故こうなったかというと……。
『プレゼントを渡すなら自分で稼いだお金で買った物を渡しなさい。その方が彼も喜ぶわよ?』
という話を昨日の夜にお姉ちゃんにされたあたしは、初めてバイトというものをすることになった。
っていってもあたしは一週間だけのバイトで、ココはお姉ちゃんのお友達が働いているカフェなの。
骨折したスタッフの代わりに、少しの間だけバイトをしてくれる人を探していたらしい。
調度いいからとお姉ちゃんがそのお友達にあたしを紹介したのだ。
店内は滑らかなジャズが流れていて、アンティーク風の雑貨があちこちに飾られている。
カフェの制服だってフリフリのレースがついた、エプロンつきだ。
それは素敵なんだけど……。


