「へぇ。彼、誕生日なんだ?」
家に帰ってきたあたしはお姉ちゃんと話している。
結局、あのあと羽鳥は千秋を無視して教室を出ていってしまった。
けたまましいくらいのバイクの音が教室まで響いて、風に揺れる羽鳥のウェーブと背中を見ていた。
「で?誕生日はいつ?」
「5月……。5月16日」
「え?もうすぐじゃないの」
「ん。でもあたし知らなかった」
千秋は誕生日だなんて言わなかったし、でも聞かなかったあたしもあたしなんだけどね……。
「言い忘れただけじゃないの?」
「ん〜……」
「そんな考えなくてもいずれわかるわ。男の気持ちってやつもね」
お姉ちゃんはキッチンに立って夕飯の支度をしながら小さく笑う。
「ところで彼へのプレゼントは決まったの?」
「まだ。てゆーか、そんなお金が……」
「あら。それならわたしにまかせて!」
え……?


