「ムカつくから」
「へっ?」
ムカつくって……。
あたしが何したっていうのよ。
「つか、もうすぐじゃね?」
「……なにがよ?」
羽鳥はクラスメイトが見てるっていうのに、気にもせずにあたしを引き寄せたまま離してくれない。
そして口を開いた。
「5月はアイツの誕生日だろ?」
ええっ……?
今、誕生日って言った?
「う…嘘っ!?ほんとに?5月なの?ねぇ、な、何日?教えて!」
あたしそんなこと一言も聞いてないよぉ……。
羽鳥はムッとした表情をしたあとに、意味深な笑みを浮かべた。
「そういうとこがムカつくんだよな。5月16日だ」
「16日って!もうあと一週間くらいじゃん……」
どうしよぉ!
ぷ、プレゼントとかなんにも用意してないよ。
「じゃあ、アイツに抱かれる前にオレと“練習”しとくか?」
耳に熱い息がかかった。


