物騒なことを言われたっていうのに、それさえも甘く染み渡るの。


その時だった……。


階段を登ってくる音が聞こえて、すぐに春希さんだと理解する。



「は……春希さんが……」

「んー?」


人が動揺しているというのに、千秋はあたしの髪の毛をくしゅくしゅと撫でながらおでこにキス。


チュッ、チュッって何回も。


「もしココに来たら……」

「んな気のきかないヤツじゃねぇよ」


足音は大きくなってすぐそこまで来ていた。



――コンコンッ



「おーい。千秋ー」


ビクッ……と肩が跳ねた。

うわぁあああーん。

どうしよう。



「バカ兄貴」


千秋は顔色一つ変えることもなく舌打ちして言葉を投げる。



「兄貴、空気読んでくんねぇ?」


空気ってそんな無茶な。



「あっ、ご、ごめん!いや、邪魔するつもりはなかったんだ!喧嘩してないかなって……」