「“遊び”じゃないわよね?」
「雅弥と一緒にすんなよ」
「ほんとかしらねぇ?」
わざとらしく尋ねるユリさん。
そしてあたしは次に千秋の口から出た言葉に、衝撃を受ける……。
「椎菜は、オレの大事な女だ」
――ゴトンッ!
それを聞いたあたしは身体中の力が抜け落ちて、抱えていた鞄とローファーを落としてしまった。
同時に、まるで風船がしぼんだみたいに、ふにゃふにゃとその場に座りこんでしまう。
「兄貴か?」
物音に気づいたらしく、千秋はこっちに向かって声を発している。
だけどあたしは座りこんだまま、腰が抜けたみたいにピクリとも動けなくて、放心状態だった。
「むふふふ。シイちゃあああん!そういうことらしいわよーっ!」
「は?」
ユリさんは大声であたしを呼ぶ。
動けないよぉ。
ふわふわ、夢心地……。
――まるで、ミラクル。


