「……というわけだからもちろん春くんも協力してくれるよね?」
あたしはユリさんに連れられて、千秋の家まで来てしまったのだ。
そして早速リビングに通された。
相変わらず広くて綺麗なおうち。
千秋はまだ学校から帰ってきていないみたい。
「そういうことなら協力してあげるよ。オレは何をすればいい?」
猫足のテーブルを挟んで向かいのソファーに座るユリさんとあたしに、春希さんは笑顔で答える。
いったい何を考えてるの?
ユリさんの“いい考え”というのが何かをあたしはまだ知らない。
「とにかく春くんは今から千秋に電話してくれる?シイちゃんを隠すために時間稼ぎしたいのよ」
あ……あたしを隠す……?
もう頭がついていかないあたしは、ただ口を大きく開けてマヌケ面をしているだけだった。


