ユリさんって結構、鋭いかも。
あたしが顔に出るタイプなだけかもしれないけど。
「何かあったっていうか、あたしが勝手に悩んでるだけなんです」
自分で言って虚しくなるよ。
「何か悩み事があるの?」
ユリさんは隣に座るあたしとの距離をグッと縮めると、こっちに身体を向けて尋ねてくる。
ふわりといい匂いがする。
見上げれば綺麗な顔がすぐ側にあって、同級生にはない大人の雰囲気というモノを感じさせた。
「そんな大した悩みじゃ……」
「ダメよ。悩みがあるなら、わたしで良ければ聞くから話して?」
急に真剣な顔をする。
黒いマスカラが塗られた長い睫毛と、春色のリップが唇で光った。
「えっと……」
「でも、こういう場合は彼氏である千秋も呼んだ方がいいよね?」
は、はい……?


