【続】俺様王子と秘密の時間



激しい音に顔を上げる。



「それ以上言ったら、ぶっ殺す」


羽鳥が机を蹴り倒したんだ。


そのはずみで机の中に置き去りにされた教科書がバサバサと散らばった。



だけど美結ちゃんは唇を歪ませて微笑すると、あたしを見下ろす。


こぼれ落ちそうなくらい大きな瞳で睨みをきかす美結ちゃんに、あたしは瞬きすら出来なかった。



「壊れたオモチャはもう不必要なの!アンタはガラクタ同然なんだよ!いい加減、消えてよねっ!」


とどめの言葉に身がすくんだ。

その時だった……。




「誰が、ガラクタだって?」


静まりかえった教室内に落ち着いた千秋の低い声が響き渡る……。


久しぶりに聞いたような気がして、千秋の姿を瞳に映したくて、あたしはゆっくり目線を上げる。


視線がぶつかった。


千秋は瞳を緩ませて物凄く優しい表情で、情けないあたしを見つめて微笑んでくれた。