顔を伏せるあたしの視界の中に、美結ちゃんの影が広がっていく。
目の前まで来ている……。
禁断の部屋の側で言われた言葉が再生され、身体が強ばっていく。
「美結を醜い女って言ったこと後悔させてやりたいんだよ!だから千秋先輩の前をチョロチョロしてるアンタが邪魔なの!」
頭上で響く荒げた美結ちゃんの声にあたしはギュッと目を瞑った。
「美結の言ったことあっさり鵜呑みにして、ほんとバカな女」
全ては千秋を手に入れるため。
「美結がアンタなんかに本気で謝るわけないでしょう?警戒心を解いて油断させるためなんだから」
あたし、ほんとバカだ……。
あれだけ酷いこと言われて散々な目に合ったっていうのに、簡単に信じちゃうなんて。
「アンタは王子様のオモチャなのよ!ただちょっと愛着が湧いて、なかなか捨てられなかっただけ」
――ガタンッ!


